楽曲詳細

股旅

KASHMIR

DUSTY HUSKY

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https://sd.deluxe-sound.jp/track/6856062
必要ポイント:238pt
タイはバンコクを拠点に置きながら活動し、日本のみならず各地を股旅し続けた2年間。そこで吸い込んだモノを吐き出した、DUSTY HUSKYによる3枚目のフルアルバムがついに完成した。

「このアルバムを表現するにあたり、タイで1番遊んだ友達、"Dope Smiley.K" に紹介してもらうのが一番だろう。アリガットカッ」

…ある時から「服を裏返しに着る男」こと、Dusty Huskyが毎年バンコクを訪れるようになったのは2015年だったと思う。
彼は此処を訪れる度に、この地で生きるためのノウハウや経験・知識・各種様々な体験を吸い込み続けているため、彼の「グルーヴ」を感じる機会は以前よりも遥かに増えたと思う。
そんな彼を思い出すときに、真っ先に脳裏に浮かぶ幾つかの場面がある。

「あそこは絶対に良い皿がありそうなんだよね~」
「良さそうなレコード屋があるんだよね~」

そんな抽象性の極みを尽くしたような根拠のない確信を原動力に、
尽きることのない情熱を武器に、正体不明のレコードを掘り当てては、
それを印籠のように掲げて、Digの成果を報告してくれる場面だ。

それ以外の記憶といえば…
イナタイ場末のローカルなクラブでナンパされた彼女ヅラした女に「他の女と話してた」という理由で怒られる姿や誰にも伝わらないであろうギャグを模索している場面とか…
30代半ばとは思えないリベラルでラディカルな記憶もあるけど、
今回めちゃくちゃ入稿焦らされてるし、Bullshitな話は自重します、あはは…。

そんな中(どんな中だ?)、厳しい検閲をすり抜けて彼から届いたアルバムは、
俺が気になっていた「股旅」の目的・概念を明白にしてくれた作品と言えるかもしれない。

特に最近の彼は「旅」を中心に人生を回すことで、経験・音・人間関係を吸い込み、前作と新作の合間を紡ぐようにして「作品」を吐き出す、
という新たなサイクルを作り出していることが、よく理解できた。

Dusty Huskyは規格外のタフネスを携えている男だが、
それと同時にブルースを内包した生きるドキュメンタリー作品のような人間に感じる。

高級レストランで使われなかった不格好な肉
汚れの落ちていない傷の入ったグラス
ドラッグを使ってでも眠らずに客を探すタクシー運転手
銘柄のわからないネガティブの原液
知らない言葉や共通する表情

彼が股旅で吸い込んだ有象無象は間違いなくこの作品の上に吐かれていた。
作中に出て来る固有名詞の多さから彼の足取りを辿ることができるのも、
今作のひとつの魅力と言えるだろう。

俺にとっての同世代のヒーローであり、日本国産のベストMCの1人がDusty Huskyだという事実を
再び更新してくれたことに敬意を払うしかありませんでしたよ、ほんとにもう!!